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東京の続き-「歌舞伎鑑賞教室」 [文楽]

2泊3日で行った東京。
1日目は、国立劇場で「歌舞伎鑑賞教室」を観てきました。

私は、文楽が大好きですが、歌舞伎は今回を入れても3回しか観たことがありません。
というのも、8等身以上の綺麗な人形が演じている方が、私には合っていたから。
女形の人で綺麗だなと思ったのは、玉三郎さんと笑也さん、それから、菊之助くんだけです。
なので、なんとなく歌舞伎は観に行けなかったんですよね。
最初に観たのは、スーパー歌舞伎。二度目は、市川海老蔵くんの襲名披露公演。
(厳選して観ています)
でも、今回せっかくこの時期に東京へ行ったので、鑑賞教室を観に行ったのでした。

6月の鑑賞教室は、学生向けなので、観客の半分以上は高校生の団体です。
まず、演目の前に、坂東亀寿さんが歌舞伎の演奏や舞台装置について、いろいろと解説してくれました。
今日の演目は、義太夫狂言と呼ばれる、文楽でもおなじみの出し物で、
上手に大夫と三味線、下手の御簾内にお囃子という見慣れた光景が。
ただ、大きく違うのは、文楽では舞台と同じ高さに大夫さんたちの床があるのですが、
この舞台では、随分と高い位置に床があるということ。
大夫さんたちの声と三味線の音が、上から降ってくるといった感じがします。
それから、お囃子の音。
何がどう違うのかうまく説明はできませんが、大阪の音というよりは、神楽坂の音、といった感じで、とても興味深かったです。
続いて、実際に立ち回りのワンシーンを演じてくれました。
息が合って(当たり前ですが)、迫力満点。面白かったです。
蜻蛉を切る(とんぼをきる・投げられて宙返りをする。着地時にだぁん、と大きな音を出す)仕草がとても綺麗でした。
次は、実際のセットの中を、2人の高校生が舞台へ上がって歩いて、いろいろ体験するコーナー。
仲間が舞台に立っているわけですから、高校生は大盛り上がり。見ている私も、面白かったです。
ここで、今日の演目で重要なセットとなる「引窓」の説明が。
古い家屋に見られる、屋根についた明かり取りの窓なのですが、紐をゆるめたり引っ張ったりすることで、窓を開けたり閉めたりするわけです。
この引窓、ただ閉めたり開けたりというだけでなく、
閉めてしまうと部屋が暗くなって、人物の心情も暗いことを表現し、
開けると月の明かりが差し込んで、心情も明るくなることを表現しているのだそうです。

さて、休憩をはさんで、いよいよ上演です。
演目は「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)・八幡の里引窓の場」。
南与兵衛を中村扇雀さん、女房お早を片岡孝太郎さん、母お幸を坂東竹三郎さん、濡髪長五郎を坂東彌十郎さんが演じています。
文楽と違い、台詞は演じる人が言うわけですから、歌舞伎はやっぱり劇なんですね。
驚いたのは、義太夫と台詞がかぶることがあるんです。
台本にはない台詞を言うのも、歌舞伎ならでは、なのでしょうか。
舞台は、意外と良かったです。
演じている人の得意不得意、カラーなども知りませんから、他の人が演じるとどうなのかはわかりませんが、歌舞伎も悪くないんだなぁ、と思いました。
そうそう、濡髪長五郎は、相撲取りで前髪があるわけなんですが、
逃げるのには、人相を変えた方が良いということで、前髪を落とすわけです。
どうするんだろうと思ったら、ちゃんと前髪をはがして(いえ、設定としては剃っているわけですが)みせるのが、面白かったです。
びっくりしたのは、もう一つの長五郎の特長、顔に大きなほくろがあるのですが、
与兵衛が金子を外から投げてほくろを取ってしまうという、えぇっ!というシーン。
おそらく人形がやれば、おぉ、という所なのでしょうが、人が演じると、まさか、と思ってしまったのでした。
こういう所は、歌舞伎の良さ、文楽の良さが分かれるのでしょうね。
ともあれ、結構楽しめる舞台で、観に行って良かったなぁと思いました。
せっかくなので、演目の内容についてもご紹介しようと思いますが、長くなるのでたたみます。
興味のある方だけ、どうぞお読みくださいませ。

3日目は、また別のところへ行きました。それについては、また後日。

物語は、与兵衛がようやく父の跡を継いで郷代官に任官される所から始まります。
与兵衛の帰りを楽しみに待つお早とお幸。そこへ、濡髪長五郎が訪ねてきました。
実は、お幸は後妻で、与兵衛とは血のつながりはありません。お幸は後妻に入る前に、実子の長五郎を養子に出していたのでした。
幼い頃に別れたきりの長五郎と、つい最近になって再会したばかり。
お幸は息子の訪れを喜び、お早はいきさつを聞いて、共に喜びました。
けれど、実は長五郎は、やむなく人を殺めて追われている身の上。せめて、母にもう一度会いたいとやって来たのでした。
そうとは知らぬ母と嫁は、離れへ長五郎を案内し、手料理をご馳走しようと台所へ籠もりました。
そこへ与兵衛が帰ってきます。
任官の喜びも束の間、与兵衛の最初の仕事が、濡髪長五郎の捕縛と知り、お幸とお早は愕然とするのでした。
お早はこの仕事を断るよう頼むのですが、何も知らない与兵衛が承知するはずもありません。
ところが、手水に立った与兵衛は、手水鉢の水に映る長五郎の姿を見てしまうのです。
それに気付いたお早は、とっさに引窓を閉めるのですが、与兵衛は「夜こそ役目の時間」と余計に張り切ってしまいます。
お幸は、そんな与兵衛に、長五郎の人相書(手配書)を売ってくれと頼むのでした。
その言葉に、全てを察した与兵衛は、人相書を譲り、それとなく抜け道さえ教えて、夜回りに出ていきました。
長五郎はその心意気に感じ入り、自ら縄打たれようとするのですが、
母であるお早は、逃げて欲しいと前髪を落とさせ、外からそっと内を伺っていた与兵衛は、路銀にする金子を投げてほくろを消したのでした。
それでも長五郎は母を諫め、お早も覚悟を決めて、引窓の縄で、我が子を縛りました。
そこへ与兵衛が現れると、縄を切り、開いた引窓から差し込む月光を朝日に見立て、「役目は夜の間だけ」と言って、長五郎を逃がそうとします。
長五郎は皆に感謝しつつ、逃げ落ちてゆくのでした。

う~ん、せっかくのお役目、義理と人情で逃がしてしまうのですが、この後は一体どうなったのでしょう。
文楽でも、次の段はもうないので、結末はわかりません。
できれば八方丸く収まって、とも思うのですが、現実を考えたら、罪は償わなくちゃね。
長い文章を読んでくださってありがとうございました。


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