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「葛飾北斎展」(於JR名古屋高島屋) [つれづれ]

先日、JR名古屋高島屋にて「葛飾北斎展」を観に行ってきました。
かなりの点数があり、また、版画を刷る実演などもあり、見応えのある展覧会でした。
何より、実物の迫力に、ただただ圧倒されるばかり。
印刷では決してわからない、実物の良さを再確認してきました。

江戸時代の印刷=版画=技術は、世界一なのではないでしょうか。
繊細さと力強さ。
版画であることを、一瞬忘れてしまいそうになるほどの精密な彫り、刷り。
あの有名な富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」
印刷で見ても、迫力のある画ですが、実物の迫力は、そんなものではありませんでした。
砕け散る浪からは、冷たいしぶきがこちらにまで飛んできそうで、
消えゆく白波は、じゅわじゅわという音まで聞こえてきそうで、
船にしっかりとしがみついている人の表情に、今にも大波に飲み込まれるのではないかという怖ろしさを感じました。
そんな景色の中、のどかな様にも見えてしまう富士山のなんと美しく優美なことか。
画面の中のパーセンテージからいえば、ほんの少しでしかない富士が、とても大きく見えて、
何故か、この船はきっと無事に帰港したであろうと、思えてしまう。
デパートの展覧会の良さは、十数センチの距離から絵を眺めることができるということ。
もの凄く混んでいたのですが、不思議なことに富嶽三十六景の辺りはほとんど人がおらず、
(すぐ隣で、刷り師さんが実演されていたからでしょうか)
心ゆくまでじっくりと、絵の隅々までみつめることができました。

今回、なんといっても一番私の心を捉えたのは、下絵「花魁図」。
まだ最近発見されたもののようで、本図の方は、未発見とのこと。
緻密な衣装の柄もさることながら、
一本一本描かれた髪、眉のなんと色っぽいことか。
ただの線である筈なのに、体温、息づかいまで感じさせるのです。
重たげに挿された簪にかかる髪の、たおやかで、柔柔としていて、儚げで、
眉ときたら、どうしたらこんなに色っぽく描けるのかと、もう感嘆以外なにも出てきませんでした。
墨というのは、まるでついさっき描かれたように、経年劣化がほとんどありません。
紙の黄ばみがなければ、200年も前に描かれたものだとは、とても思えません。
この画の前にはまだ人が多かった(流れて)のに、もう、ごめんなさい!とかぶりつきで凝視してしまいました。

浮世絵の良さの1つに、構図の面白さがあると思うのですが、北斎はその中でも一番ですね。
鎖国時代とはいえ、外国との交流が全くなかったわけではないため、
浮世絵にも、西洋の画法を取り入れた浮絵というものがあるそうなのですが、
なんだか面白味に欠ける画で、ふぅん、と思っただけでした。
やっぱり浮世絵は構図の大胆さよね(北斎に限るのかもしれませんが)、と満足一杯で帰宅しました。

今回は、北斎の櫛づくしが染められた手ぬぐいハンカチを購入。
気に入った画の絵はがきがなかったため、思いきって図録を購入しました。


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ICE★DOLL

葛飾北斎の富嶽三十六景といえば、歌川広重の東海道五十三次とか・・。
私は歴史の授業で色々習って、写真で見たぐらいですが、
実際はものすごい迫力なんでしょうね。
一回見てみたいです!
by ICE★DOLL (2007-05-30 20:38) 

natu

ジャスミンさん、ようこそ。nice!をどうもありがとう☆
実物というものは、どんなものでも複製では決して味わえない迫力と良さがあるのですが、
この「神奈川沖浪裏」は、格別でした。
版画ですから、結構な枚数が残存しているので、きっと実物を見る機会があると思いますよ。ぜひ、ご覧になってください。

赤川次郎さんの本、学生時代によく読みました。
働くようになって、次々と発刊されるスピードに追いつけず、断念してしまいました。
面白いのでまた読みたいなぁと思うのですが、暇がある筈の現在は、集中力の持続時間が短くなったために、どうしても後回しに。
でも、ジャスミンさんのコメントを読んでいると、読みたい~と思います♪
by natu (2007-05-31 10:16) 

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