SSブログ

文楽・新春公演 [文楽]

昨日、大阪文楽劇場へ行ってきました。
この日は千秋楽。友人のつてでチケットを取って貰いました。

  (携帯からの画像です)

最近は文楽を観にくるお客さんがとても増え、文楽ファンとしては嬉しい限り。以前はロビーでしか飲食できなかったのですが、客席飲食OK(但し幕間だけ。飲む位なら開演中でも見逃して貰えるようです)になったことでも、人の多さがわかります。
大阪での文楽公演は、期間を前半後半に分けて、演目が交代します。
だから、前半期に夜の部だから見られないという演目は後半期になるまで待てば観られます。
写真はこの公演の看板。
お正月らしく紅白の花餅(を似せたプラですが)が下がり、華やかです。
お正月公演はもう一つ楽しみが。
    
舞台上部に設けられた「にらみ鯛と凧」です。凧にはその年の干支が書かれています。
解説書によると、「にらみ鯛」は関西各地で新年の縁起物として飾られるものなのだそうです。
そして、お客さんの着物姿。華やかな着物を着ていられる方が多いため(あ、自分の写真を撮るの忘れた)、眼福です。

今回の演目は、「桜鍔恨鮫鞘(さくらつばうらみのさめざや)」と「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」の二本。
残念ながら、私の大好きな人形遣い・吉田玉男さんはお休みでした。

まずは、「桜鍔恨鮫鞘・鰻谷の段」。この演目を観るのは初めてになります。
何度も繰り返し演じたからなのか、お話がそうさせるのか、とにかく良い舞台でした。
なかでも、小さな娘のお半がもう可哀相でいじらしくて、涙がとまらないのです。
おいしい役どころとはいえ、お半の人形を遣う吉田簑紫郎さんはまだお若いのにお上手で、これからがますます楽しみな方です。
(ここからはあらすじです。長いので、読んでみようと思う方だけどうぞ)

主人公八郎兵衛は、古着商を商うお妻(おつまという名です)、一人娘のお半、お妻の母との4人暮らし。
実は、八郎兵衛は武士。屋敷から盗まれた刀の行方探しとお金の工面のため、町人として暮らしています。
ある日、八郎兵衛が久しぶりに家へ帰ると(刀探しに東奔西走しているのですね)、いきなり義母から離縁を言い渡されます。その上、今宵はお妻の婿取り祝言だと言われ、そこにはもう婿が我が物顔で座っているのでした。
お妻からも愛想づかし(「あんたなんか嫌い!」というわけですが、文楽の場合、裏があります)されて、八郎兵衛は怒りを覚えるものの、自分には大事の役目があると思い直し、ぐっとこらえて家を出ました。
お妻は実は、お金の工面のために婿取り(多額の持参金有り)を決めたのであって、本当は離縁などしたくはなかったのです。
祝言のために髪をなでつける母親の姿(ただし普段着)を見て、お半が「どこかへ行くの?私も連れていって」と何も知らずにせがみます。そんなお半を前にお妻は涙するのでした。
このセリフはリアルですね。この作品は全体的にセリフがリアルで、観客の心をわしづかみにします
そこへ婿が現れて、早く閨に来いとの催促。お半が「母と一緒に寝たい」と言って引き留めようとすると、お半を外へ放り出し、お妻を閨に引きずり込みます。
いやもう、こいつがホントに嫌な男で。観ていて腹が立ってきます
真っ暗な外へ放り出されたお半が怖くて泣いているところへ、お妻の心変わりに合点がゆかぬ八郎兵衛がやって来ます。
成り行きを聞いた八郎兵衛の怒りはもう止まりません。止めに入った義母を切り、お妻を切って殺してしまいます。婿は、近所中にこのことを大声で報せると、さっさと逃げて行きました。
そこへ、八郎兵衛の仲間・銀八がやって来て、切腹しようとした八郎兵衛を止め、主人が馴染みの遊女と駆け落ちしたことを告げました。
やり場のない怒りに、なおもお妻に刀を突き立てようとするのを、小さなお半が必死に止めるのです。
『父様、待って、書置きの事、アレアレ伯父様、留めて留めて、書置きの事』
銀八が八郎兵衛を押しとどめると、優しくお半に「書き置きとは何か」と尋ねます。
内容を知りたくて「早く言え」とこづく実父と違い、銀八は「小さいのによく覚えた、よく言えた」と順々にゆっくりと聞いてあげるのです。いい人だ
字が書けないお妻は遺言を娘に覚えさせていたのでした。
その中身を聞いた八郎兵衛は、お妻と義母のしくんだこの婿取りの意味を知り、お妻の遺骸にすがりついて嘆きます。
仏間にはお妻が自ら用意した骨桶(骨壺)がありました。
その中には持参金と書状があり、その書状の筆跡により、主人の刀を盗んだのはこの婿だったことが判明するのです。
そこへ捕り方の声が。
八郎兵衛はお妻と義母の弔い・お半の養育を銀八に託すと、主人を探すため、その場から逃げていくのでした。

あっぱれ貞女のお妻と、母が目の前で死のうとも母の言いつけを一生懸命守った小さなお半。
始めは意地悪婆として登場するお妻の母も、実は金の工面のために芝居をしていただけだったという、文楽特有の二転三転の展開がとても面白い演目でした。
最後にとっても良い人・銀八の言葉
『コリヤ八郎兵衛、何するぞい、小さい者をびしゃびしゃと、よう覚えてゐると誉めてはやらいで、虫でも出たらどうするぞい、アァだんないだんない、堪忍せい堪忍せい、(略)』
natu注釈:「これ八郎兵衛、何をする。小さな者をぴしゃりぴしゃりと叩いたりなどして。よく覚えたと誉めてもやらず、くじけて病気にでもなったらどうする。お半ちゃん、あぁ心配ない心配ない、父親を許してやってくれ」。この後に、後でおじさんがお父さんをこらしめてやるからな、と続きます


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。