昭和20年8月9日 [・・・]
60年前の今日、長崎に原子爆弾が落ちた。
広島に原爆が落ちた、たった3日後である。
一瞬にして、多くの命が奪われた。
一瞬後から、多くの命が失われていった。
今現在も、この日の被爆が原因で亡くなっていく人たちがいる。
長崎の地で、原水爆を反対する集会に一度だけ参加したことがある。
その折り、知り合いからこう言われた。
「あんたはあの政党の支持者なのか」、と。
私は驚きに目を見張り、一瞬言葉を失ったが、すぐにこう答えた。
「政党の思惑など私には関係ありません。私はただ、戦争が嫌いなだけです。広島や長崎で苦しんだ人たちと同じような思いを、今を生きる人たちにして欲しくないだけです」
私の言葉はどこか悲痛だったろうか。
これを聞いた知り合いは絶句したまま、その場を立ち去った。
私が長崎を訪れた年も、暑い夏の一日だった。
集会場所で、黙祷を捧げた。
閉じていた目を開き、周囲をぐるりと囲むなだらかな坂を見上げると、
くっきりとした青空の下、たくさんのお墓が立ち並ぶそこに、
多くの人たちが、お墓に花を手向け、手を合わせていた。
本当に多くの人たちが、そこにはいた。
よそ者の私には、戦争を知らない私には、計り知ることのできない哀しみがそこにはたちこめていた。
戦争は嫌だ。
大切な人たちが、戦争で死んでいくのを見るのは嫌だ。
きっと青空は60年前の今日も同じ青空だったに違いないのに。
合掌
2005-08-09 12:10
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